警察庁によると、平成18年における「融資保証金詐欺」の認知件数は7,831件。被害総額は、54億円にものぼります。借りる側の弱みにつけこむ悪徳業者は後を絶ちません。 審査に不安を抱えていたり、急いで資金を調達しなければならなかったり……融資を必要としているときは、いつものように冷静な判断を下せないことも少なくありません。悪徳業者から身を守る唯一の方法は、パターン化されている悪徳業者の手口を知って、少しでも不審な業者には近づかないことです。融資を受けないのはもちろん、個人情報も漏らさないように気をつけてください。
「貸します詐欺」ともいい、多重債務者や中小企業の経営者をターゲットに、好条件の融資の話をもちかけ、最初に保証金を振り込むよう指示するものです。もちろん、融資はおこなわれず、保証金だけをだましとられることになります。
ダイレクトメールやチラシの誇大広告で、多重債務者を集め、信用力不足などを理由に自社では融資をせずに、審査が甘い他の業者を紹介。紹介された業者で融資を受けると、多額の手数料を請求してきます。実際には、紹介した業者とのあいだに提携関係がない場合も少なくありません。融資をする業者に対して「紹介」であることを告げないようにと、口止めされたら、詐欺である可能性を疑いましょう。
「債務を整理しませんか」などと言って、返済に苦しんでいる多重債務者に近づき、整理手付金を請求します。ほとんど、まともな債務整理をおこなわず、加えて多額の整理手付金を支払わなければならないので、債務者はさらに経済的に追い込まれることになります。なかには、実際の弁護士の名前を借りて、詐欺行為をおこなう整理屋もいます。
借入金額、延滞などの事故記録は、個人信用情報として記録され、審査の判断材料などに用いられています。融資がおりにくい多重債務者に、信用力が低いので、借入枠を増やすために個人信用情報をコンピュータ操作で消す必要があるなどと言って、多額の手数料をだましとるのが、“消し屋”の手口です。実際に、個人信用情報や借入枠を操作することなどできません。
名称 | 特徴 | からくり |
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090金融 | 連絡先が携帯番号だけしかわからない | 29.2%以上の金利をとるなど、違法な融資をおこない、大部分が無登録業者です。携帯番号しか知らせないのは、摘発を逃れるためです。 |
買取屋 | 「ショッピング枠を現金化」の広告 | 現金を必要としている多重債務者に、クレジットカードのショッピング枠で換金性の高い商品を買わせ、それを安く買い取ります。差額は買取屋の儲けとなり、債務者は少額の現金を手にするものの、クレジットカードの返済に追われることになります。 |
押し貸し | 口座に心当たりのない振込み | 銀行口座に一方的に振込みをして、法外な金利をとりたてます。 |
システム金融 | 中小企業の経営者をターゲットに手数・小切手を担保にとる | 中小企業の経営者が資金繰りに苦しんでいるところへ、手形、小切手を担保として融資をもちかけます。金利が法外に高いうえに、ときに、ダミー会社などに同様の手口を繰り返させ、債務は雪だるま式に膨れあがります。 |
債権譲渡詐欺 | 「あなたの債権譲渡を受けた」という連絡がくる | 「債権譲渡を受けた」と、指定した口座に返済額を振り込むよう、連絡が来ます。実際に債権譲渡はおこなわれていないのに、借入があるとだまされてしまうのです。 |
法定金利を守る登録貸金業者でも、時間外に取立てたり、脅迫ともとれる発言などで威嚇したりする場合は、違法な悪徳業者です。少しでも身に危険を感じたら、迷わず110番してください。また、「これは、悪徳業者の手口かな?」と思ったら、最寄りの交番などに相談して、被害届をだしましょう。
⇒違法な取立てとは?
貸金業者は、財務局や都道府県の監督下にあります。違法行為のあった業者は、営業取り消し、営業停止などの行政処分を受けることになります。
弁護士を依頼すると、悪徳業者でも取立てをやめることがほとんどです。基本的に、相談は有料となりますが、各市区町村が催す無料法律相談会などを利用するのもひとつです。
司法書士は、簡易裁判所の訴額140万円までの件については、弁護士と同様に訴訟や調停の手続きをできます。弁護士に依頼するよりも、司法書士のほうが費用が安い場合もあるので、検討してみましょう。