利息の上限については、「利息制限法」と「出資法」の2つの法律が存在します。「出資法」の定める年利29.2%を超える金利を要求するのは、違法行為となります。 いっぽう、登録貸金業者に限って、ある一定の条件を満たせば、「利息制限法」の上限金利を超えて、「出資法」の定める年利29.2%までの契約を結ぶことが認められています(みなし弁済)。この、登録貸金業者にのみ許された「利息制限法」と「出資法」のあいだの金利を“グレーゾーン金利”と呼びます。
このグレーゾーン金利について、2006年11月、衆議院で「貸金業規正法」「出資法」の改正案が可決されたことにより、廃止の方針が決まりました。これは、「出資法」の上限金利を「利息制限法」の上限金利と同水準まで引き下げようというものです。
グレーゾーン金利の廃止により、登録貸金業者の金利は、自ずと下がります。これは、借りる側にとって、喜ぶべきことに思えるのですが、実は、手放しでは喜べない、微妙な問題を孕んでいるのです。
確かに、金利が低くなったことで、利益を受けることのできる借主も多いことでしょう。ですが、グレーゾーン金利が廃止されると、貸金業者の収益は少なくなるので、各業者は、より確実に返済が行われるよう、審査基準を厳しくせざるを得なくなります。
つまり、従来、登録貸金業者で融資を受けられた借主の一部の審査が通らないという事態が起こるのです。審査が通らない一部の借主には、違法な貸金業者から融資を受けるという選択肢しか残されなくなってしまいます。「どんなに困っても、違法業者からは絶対に借りない」。わたしたち消費者は、今まで以上に意識を高める必要があります。